あいつは鹿児島空港の主だった。
鹿児島空港で最も多くの乗客を運んだに違いない。
そいつがついに姿を消してしまった。
ただひとつの特別塗装。
空港に着くと、いつもそばで待っていてくれた。
到着口までいつも送ってくれた。
出発前、あいつは所定位置につく。
乗客を乗せて確実に搭乗機まで送ってくれた。
ほかのやつらが休んでいる間も、あいつだけはいつも働いていた。
ところどころ錆がういて、老いを感じさせる存在でもあった。
そんなヤツが姿を消してしまった。
多くの人の思いを乗せてやつは空港内を走り回った。
ヤツこそが鹿児島空港。