飛行場めぐり

定期路線のある空港を見て回ってました

ANAオーバーランの報告書を読むと頭が痛くなる

AI2018-1-3
この報告書は非常に珍しく、1年経過せずに上がってきた。

内容はごくシンプルなのかもしれないが、
書いてある内容には頭を抱えたくなる内容。

概ね報道機関各社の報道は「ブレーキ遅れ」なのだが、
ごく一部に「雪の影響」というのがある。
この社については嘘つき呼ばわりされている節があったが、嘘つき呼ばわりするようなモノではない。
パイロットが「滑走路が閉鎖されていたことから、素早く滑走路から離脱しようとしていた」に言うのは原因の一つだからだ。
それに対して北海道の新聞が、もっと雪の影響を対策すべきだと、道に問題提起するのは正しい行動である。
それを嘘つき呼ばわりしてどうする。


また、「ディスクを失念したのが原因」と論じる向きもあるが、
報告書を見る限りそうではない。
揚げ足を取るなら、「ディスク」というモノは存在しない。
報告書で言われている「ディスク」というのはパワーレバーの位置の事で、装置ではない。
一応パイロットはパワーレバーの操作をしてはいる。
ただ実際には「フライトアイドル」という飛んでいるときのアイドル位置まで戻っただけで、推力は出続けたらしい。
これは「~だろう」というよろしくない状態。

そして本来は操縦を監視すべき副操縦士が気が付きそうなものだが、
パイロットが意思表明をないがしろにしてしまったからなのか、パイロットの操作を意図した操作と解釈している。
ここはもうコミュニケーションエラーだ。

そしてなぜだかわからないが、
制動操作を始めた場所が、滑走路のかなり奥まった個所、
滑走路端まで500メートルちょっとしかない。
それより手前であれば、滑走路の状態はまだよかったが、実際にはそれよりも遅いタイミング、悪い滑走路状態でブレーキをかけたことになる。
正直、ここでパワーレバーをリバースにしたところでオーバーラン自体は避けられなかったと思えるし、
滑走路が凍った状態で「リバースに入れるのは避ける」と書かれたら、リバースには安易に入れないだろう
ここもパイロット側の誤認ではあるが、副操縦士も止まれるだろうと思い込んでいる。
揃いも揃って…。

このようにしてみてゆくと、
「コミュニケーションエラー」と「思い込み」、ついでに「悪天候」という事故の原因のご本尊のようなもの、
それが見事なくらい重なり合って発生している。
「コミュニケーションエラー」というのはたまにあることなのだが、「思い込み」というのは困ったものだ。
かつて「異常姿勢からの急降下」も操作の思い込みからの重大インシデントだ。
一応エアーニッポンと、ANAウィングスは他社ではあるが、基本的に同じ報告書は見ているはず。
しかも今回、
「パワーレバーの位置の思い違い」「ブレーキ一の思い違い」という2件が同時発生している。

シンプルな内容の報告書のわりに、問題点は数多く。
一体どうなってんだ…。