飛行場めぐり

定期路線のある空港を見て回ってました

鉄道よお前もか

元来、鉄道というものは、
私の生業の一つでもあるため、個人的にとやかく批判するのは差し控えるモノではある。

だがしかし、8月のANAの与圧不良による緊急着陸からこの方、
JALが発動機を損傷させ、ANAが部品を連続して脱落させ、何を気がふれたのかANAが再び緊急着陸をする。

そんなど真ん中、小田急が火災に巻き込まれる。
幸いなことに小田急には関係したことが無い(関係していない会社の方が多いには違いない)。

しかしまぁ、安全面で不合理が多々あるので長文上等で書いておくことにする。

運転士側の問題。
「煙は見えたが大丈夫と思った」ということなので、
仕方がないという意見が大勢、
列車は急ブレーキをかけても急には止まれない、それは正しい。
だから火災の真横で停止しても仕方がない…。
それは誤りだ。
止まれない曲がれない、ということで船も飛行機もちょっとでも危なそうなら実行しない。
「煙は見えた」という段階で列車の進行を止めてもよいのではないかという判断が必要だったはずだが、「大丈夫と思った」とくる。
運転指令から抑止指示が無いからといって進行するのではなく、運転指令に連絡をすべき立場なのは運転士側でもある。
これは単純にコミュニケーションエラーだ。


次に列車は火災現場の真横で停止してしまうが、
警察側の非常ボタン押下はあまりいただけた対応ではない。
基本的には「発煙筒を焚いて知らせる」。
これは免許更新でもらう冊子にも書いてあることなので、脱輪や線路支障の時の基本的な対応でもある。
これにより直近の列車は停止するし、それに合わせて運転指令に連絡も行く。
同時に警察側からも鉄道会社側に連絡はいくだろうが、いったん上に上がってまた下まで降りてくるというのにはタイムラグがある。
結果警察側とのホットライン等という話になるが、これもタイムラグがゼロになるわけでもなく、一番手っ取り早い方法が手元にある発煙筒だったりする。
# 何より、目の前の車両にホットラインがあったりするんですけどね。

続いて火災現場の真横で8分間も停止した件、
本来その場所から手早く脱出すべきであるが、
運転指令とのやり取りやら確認やらで時間を食いつぶしている。
運転指令の方でも警察からの停止要請やATSで、当該車両がよりにもよって火災現場のど真ん中で停止しているとは思わなかったというのが真実ではないだろうか?
何しろ「煙が見えた状態のところに進行する」奴がいるとは思いもよらんだろう。
似たような案件は、福知山線脱線事故でもある。
まさかあんな速度で遅延回復を図ろうとするとは思いもよらなかったはずだ。
悪いことは重なるもので、ATSまで絡んでくると、この部分だけはどうしようもない。


そして火を乗せたまま一旦発車し、もはや手遅れと直ちに停止、
ここまではいいが、避難誘導開始までにさらに3分かかっている。
そのあとさらに線路内まで下すか否かに時間がかかっているが、
これも「列車が来たらまずい」という根拠をもって擁護される。
消防から早く逃げろと言われているのに、
10分もたっていれば持っていればあたり一帯の列車は止まっているのは明白で、
当該車両はすでに線路を支障しているので防護無線も発報していたはずだ。
福知山線脱線事故では発報し失敗したとはいえ、何のための防護無線だ(防護無線は車両の設備でATSとも別の装備です)。
その状態で突っ込んでくる車両がいたら、運転指令の許可があっても突っ込んでくるだろう、気にしてはいかん。


結果ここでも問題になる、というか一番問題にしたいのは
「運転指令」と「現場」の判断が相違しているタイミング。
本当に運転指令に従う必要があったのだろうか?
「現場」の消防・警察判断による離脱と「運転指令」の指示、
どちらが正しいのだろうか?

答えは案外明白である。
「現場」の消防・警察判断による離脱は正しいはずだ。
前にも述べている通り、「運転指令」に依らず、列車を停止させることは複数の項目で可能だ。
複数の項目というのは「列車防護無線」であり、「発煙筒」の事(これは運転指令では扱えない)。

イムリーに動ける「現場」と俯瞰できる立場の「指令」側、指示が相反した場合、
俯瞰できる立場の方が的確な指示が出せる気がするが、
「モガディッシュの戦い」よろしくタイムラグが致命傷と化したり、
日本航空駿河湾上空ニアミス事故」のように指令側がコミュニケーションエラーを叩きだすこともある。
果てには「福島第一」のように俯瞰できる立場の人間が一番何も見えてない、という最悪のパターンもある。

「現場」判断で動いて「指令」側がサポートに回るというのは航空の間ではしょっちゅうある。
先にあげたANAの与圧不良による緊急着陸JALが発動機損傷の緊急着陸も、焦げた匂いがしたからしいう緊急着陸もすべて同じ方法で無事にその場は収束している(その後もいろいろあるわけだが)。

ならば鉄道会社としても「現場の判断」を尊重するという方針を明確に打ち出してよいのではないだろうか?。
バスの運転士だろうと、旅客機のパイロットであろうとそのくらいの権限はある、列車の雨天氏がダメな理由はない。

そんな指針を打ち出せずに「ユーバーリンゲン空中衝突事故」みたいなことが発生したら
もう目も当てられない。